葬儀は、人生の最後に故人を見送る大切な儀式です。家族や友人を失った悲しみに寄り添い、哀悼の意を示すことが重要であり、そのための礼儀やマナーには日本ならではの決まりごとが多くあります。
特に葬儀マナーは、弔意を表すだけでなく、周囲の方々に配慮するための基本的な礼儀であり、服装や参列時の振る舞い一つで印象が大きく左右されます。
しかし葬儀の参列経験は多くの方があまりないのではないでしょうか。マナーの知識にあいまいな部分もあることだと思います。これでいいやと適当な行動をしてしまうと、故人にも遺族にも大変失礼な行動になるかもしれません。
この記事では、葬儀の基本的な振る舞いを含めてわかりやすく解説いたします。参列した先で恥をかかないように葬儀に初めて参列する方も、知識をおさらいしたい方もぜひ参考にして下さい。
1.葬儀での基本マナー
葬儀は、故人や遺族に哀悼の意を示す厳粛な場であるため、何よりも慎重な態度と心構えが求められます。以下に、葬儀で守るべき基本マナーをいくつか紹介いたします。
丁寧な言葉遣い
葬儀では、言葉遣いにも細心の注意が必要です。葬儀の場では「重ね言葉」や「冗談」は避け、冷静で控えめな言葉を選びましょう。「重ね重ね」や「再び」など、同じ言葉を繰り返す表現も避けるべきです。
携帯電話・スマートフォンの管理
葬儀会場に入る前には、必ず携帯電話(スマートフォン)をオフにするか、サイレントモードに設定しておきましょう。特に静寂が求められる場で、携帯の音が鳴ると周囲への迷惑になるだけでなく、故人や遺族への礼を欠く行為とされます。
姿勢と態度
葬儀の場では、無言のまま厳粛な態度を保つことが求められます。立ち姿や座り姿勢も重要で、背筋を伸ばし、両手をそろえて慎ましい姿勢を意識しましょう。
多くの場合、緊張感が漂う場ではありますが、余計な動作や視線を落ち着かせることで、場の厳粛さに調和することができます。
2.葬儀での服装のマナー
葬儀に参列する際の服装も、礼儀の一つとして重要視されます。黒の喪服が一般的ですが、場に応じた適切な服装が求められます。
恥をかかないように、故人や遺族に失礼のないように、ポイントをしっかり押さえましょう。
喪服の種類と選び方
葬儀には、男性も女性も黒の喪服が基本です。男性は喪主が着る正喪服に準じた準喪服を着用します。これは黒のスーツで、シングルでもダブルでもどちらでもかまいません。ネクタイや靴下も黒を用意しましょう。
女性は黒のワンピースやアンサンブルを選びます。どちらも無地が好ましく、光沢のある素材やデザインは避け、シンプルで控えめな服装を心がけましょう。
通夜は急な訃報のため喪服の用意が出来ないといった意味で平服での参列がマナーとされていました。しかし現在では連絡手段も発達し、通夜が少し先になることも出てきたため、喪服での参列が一般的となっています。「平服でいい」と言われた場合や、通夜前に弔問する際、または三回忌以降の法要には略喪服を着用する場合もあります。男性の場合は暗い色のスーツ、女性は暗い色合いのワンピースやアンサンブルです。カジュアルになりすぎなければストライプなどの柄が入っていても良い場合が多いです。
アクセサリーのマナー
アクセサリーは基本的に身に着けないのが一般的です。ただし、結婚指輪や黒のパールのネックレスなど控えめなものは許容されることが多いです。パールの場合必ず一連のものを身につけましょう。二連のものは「重なる」といった意味合いにとれるため、葬儀にふさわしくありません。全体的に派手なデザインや色のものは避け、シンプルな装いにしましょう。
靴とバッグ
靴は黒の革靴やパンプスが一般的で、光沢や装飾のないシンプルなデザインが好まれます。バッグも黒の無地のものを選び、小さめでシンプルなデザインを心がけると良いでしょう。
子どもの服装
子どもも葬儀に参列する場合、基本的には黒やダークカラーの服を着用します。派手な装飾やカラーは避け、控えめな装いを意識しましょう。学校の制服がある場合は制服を着用します。子ども用の礼服が難しい場合は、暗めの色の服で代用することができます。
身に着けてはならないもの
これから寒い季節がやってきます。コートやマフラーが必要となってくるでしょう。そんな季節に参列する際はフォーマルな黒いコートやマフラーを使用しましょう。黒いコートがない場合はグレーなど落ち着いたものでもよいですが、派手な色や華やかな装飾のついたものは避けましょう。
また、毛皮やフェイクファーのついたものは殺生を連想させるため着用は避けましょう。取り外しできるものであれば外して着用しましょう。
女性は、派手なネイルをしている場合、落とすか黒いレースの手袋などをしましょう。素足での参列をすることがないよう、必ず黒の20デニール程度のストッキングを着用します。
3.葬儀での参列マナー
参列時には、故人と遺族への礼儀を第一に考えた行動が求められます。具体的に参列時の振る舞いについて解説いたします。
弔問の挨拶
遺族に挨拶する際は、「このたびはご愁傷さまです」「心よりお悔やみ申し上げます」といった言葉を用いるのが一般的です。また、故人との思い出を語るのは控え、静かに弔意を伝えることが望ましいです。
焼香の作法
焼香をする際、前の人の焼香作法を見て真似して行う人もいるのではないでしょうか。あまり参列したことがない場合、戸惑ってしまうことも少なくないでしょう。
焼香は宗教に応じた正しい作法で行うことが求められます。喪主から遺族、親族という順番で回ってきます。自分の番がきたら立ち上がって遺族に一礼し祭壇の前まで向かいます。仏式の場合、右手(親指、人差し指、中指)に香をつまみ、額に軽く当ててから香炉にくべます。回数や動作は宗派によって異なるため、事前に確認することが大切です。多くの場合は1~3回行うのが一般的です。
数珠の使い方
数珠は仏式の葬儀で用いられる道具です。数珠を両手にかけて持ち、焼香時や祈念時に使用します。持ち運びや保管も慎重に行い、使い終わった後は綺麗に収納することが大切です。
供花・供物
供花や供物は、故人へのお供え物です。遺族から供花や供物を辞退するといった連絡があればそれに従いましょう。
供花・供物は、葬儀の前日までに葬儀会場に届くように手配します。遺族の準備の負担を減らすため、葬儀の直前ではなく事前に手配することが好ましいです。突然の訃報で事前に送れなかった場合、落ち着いてから仏壇に供えるなど、タイミングを配慮するのも方法の一つです。
供花は一般的に白や淡い色の花を選びます。カーネーションや菊、ユリがよく用いられますが、宗派や遺族の意向を確認し、ふさわしい物を選びましょう。カラフルな花や香りの強いものは避けましょう。
供物は果物や菓子、乾物などが一般的です。遺族の負担にならないように、持ち帰りやすいサイズのものを選ぶことも配慮の一環です。
供花や供物には送り主の名前を記載した名札を付けるのが一般的です。会社関係の場合は会社名と個人名、家族で送る場合は連名で表記します。
香典のマナー
香典は、故人への供養の気持ちと、葬儀の費用を分かち合うという意味を込めた金銭のことです。近年では遺族が香典の辞退をするケースも増えています。これは参列者から香典をいただくと、香典返しを遺族が行わなければならないからです。それならば最初から香典をなくそうという葬儀も多いです。
香典の金額は、故人との関係や地域の風習によって異なります。一般的には友人知人で5千~1万円、親族や会社関係で1~5万円程度が目安とされています。偶数の金額(2万、4万など)は「別れ」を連想させるため避けるのが一般的ですが、「5千円×2枚=1万円」など割り切れる形式でなければ問題ありません。
香典袋(不祝儀袋)は仏式の場合「御霊前」「御香典」「御仏前」、神式の場合は「御玉串料」「御霊前」、キリスト教式の場合は「御霊前」「お花料」と表書きに書きます。香典袋の水引は黒白や双銀などが一般的で、結び切りのものを使用します。
新札は避け、使用済みの札か、軽く折り目を付けたものを入れます。これは不幸が「突然」であることを示すためです。お札の向きは,香典袋を開けたときに故人を見送る形で、肖像画を袋の裏向きにするのがマナーとされています。
香典が用意できると、式場での受付にて香典を渡します。受付がない場合は、遺族の手が空いたタイミングでお渡しするのが望ましいです。
参列後の礼儀
葬儀が終わった後でも、丁寧な態度を保つことが重要です。遺族へのお礼やご挨拶を忘れずに行い、去る際には静かに退席しましょう。
まとめ
いかがでしたか?葬儀の場は、故人と遺族への敬意を表すための大切な儀式です。そのため、服装や参列時のマナーを守り、慎重な言葉遣いや控えめな振る舞いを心がけることが大切です。
この記事で紹介したマナーや作法を参考に、葬儀に参列する際の礼儀を理解し、弔意を表す方法を身につけましょう。また、正しいマナーは周囲の方への配慮にもつながるため、あらかじめ知識を身につけておくことで、自分自身も安心して参列できるようになります。
次回の記事では、遺族側の立場になった際の立ち居振る舞いや葬儀マナーをご紹介させていただきます。次回の記事を楽しみにお待ちください。
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