葬儀は、故人に対する敬意と哀悼の意を示す場であり、遺族側も参列者に対して適切なマナーを守り、感謝の気持ちを示すことが重要です。葬儀の進行を担い、弔問客に丁寧な対応をすることで、故人への敬意を形にし、参列者との円滑な交流が図れます。慣れない場面で不安を感じる遺族も多いですが、この記事では遺族が葬儀の場で気を付けるべきマナーや振る舞いについて服装や挨拶、参列者への対応方法を詳しく解説いたします。
参列者として葬儀に参加する際は、前回の記事【知っておきたい!葬儀のマナー・服装・参列時のマナーガイド【参列編】をご参照ください。
1.遺族としての基本的なマナー
葬儀は故人を偲び、弔問客が哀悼の意を示す場です。遺族としては、心身ともに大変な状況の中でも、参列者に敬意を払い、丁寧に対応することが重要です。
以下に、葬儀での遺族の基本マナーをいくつか紹介します。
感謝の言葉を伝える
弔問客が訪れた際には、「本日はお忙しい中、お越しいただきありがとうございます」といった簡潔で心のこもった感謝の言葉を述べることが大切です。また、「ご厚情に心より感謝申し上げます」や「故人も喜んでいると思います」など、哀悼の意を示す言葉も添えると丁寧です。
控えめな態度と礼儀正しい言葉遣い
弔問客に接する際には、冷静で穏やかな態度を保ち、感情的な言動を避けるようにします。弔問客も遺族への配慮を持って接してくれますが、感謝の気持ちや哀悼の意を伝える際には、落ち着いた言葉遣いで対応しましょう。
葬儀の場で遺族が取り乱すと、弔問客も気を使ってしまうため、感情を抑え、冷静な対応を心がけるのが望ましいです。もちろん深い悲しみの中にあるのは当然ですが、参列者との交流においては、穏やかな表情と丁寧な振る舞いを保ち、故人への想いをしっかり伝えることで、感謝の気持ちが一層伝わります。
2.葬儀での遺族の服装マナー
遺族は、参列者以上に厳粛な装いが求められます。適切な服装をすることで、参列者にも安心感を与え、礼を尽くす姿勢を示すことが出来ます。
以下、遺族としての服装の基本について解説します。
喪服の選び方
喪主として男性が着用する服装は、洋装ではモーニングコート、和装では紋付羽織袴が正喪服です。遺族が着用する「正喪服」は、参列者が着用する喪服よりも格式が高く、より厳粛な場にふさわしい装いです。
モーニングコートの場合は、ジャケットとベストは黒、パンツは黒または細かいストライプ柄のグレー、シャツは白無地、ネクタイは黒無地、アクセサリーは黒、金属類はシルバーで統一するのが基本です。
和装の場合は、紋付羽織袴が正喪服です。
近年では葬儀の簡素化が進み、モーニングを着る方は減少傾向にあります。また、近親者でも喪服を着用することで「死を予測していたのではないか」「準備がよすぎる」と捉えられてしまうこともあるため、準喪服や略喪服、略式礼服を着ることも多くなっています。
女性は黒のロングドレスやアンサンブルを選ぶと良いでしょう。葬儀にふさわしい漆黒で光沢のない生地の洋服を選ぶことがマナーです。 黒色でシンプルなデザインのワンピースやアンサンブル、スーツなどを着用しましょう。 スーツを着る場合、シャツやブラウスの色も黒色にそろえます。
アクセサリーと身だしなみ
女性の場合、化粧や髪形にも注意が必要です。メイクは控えめにし、髪はシンプルにまとめ、派手なデザインのアクセサリーは避けるようにしましょう。アクセサリーは結婚指輪や黒いパールのネックレス程度に留めると適切です。パールは「涙の象徴」として喪の場にふさわしいとされますが、白いパールは避け、黒やグレー系が望ましいとされています。
靴やバッグの選び方
靴は黒の革靴が一般的で、装飾が少ないシンプルなものを選びます。女性のパンプスは、ヒールが低めでつま先が隠れるデザインが好ましいです。また、バッグも黒の無地で、金属製の留め具などが目立たない控えめなデザインが推奨されます。
子どもの服装
子どもも葬儀に参列する場合、基本的には黒やダークカラーの服を着用します。派手な装飾やカラーは避け、控えめな装いを意識しましょう。学校の制服がある場合は制服を着用します。子ども用の礼服が難しい場合は、暗めの色の服で代用することができます。
身に着けてはならないもの
葬儀は、亡くなった故人を偲ぶ場であるため、悲しみの場にふさわしい装いを心がけましょう。迷ったときは、ツヤのない黒色で、シンプルなものだけを身に着けるようにすれば、失礼にあたらないでしょう。以下は避けるべきものです。
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- 派手な装飾のついた洋服やアクセサリー、小物
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- ビーズやエナメル、金など、光る素材
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- 毛皮やアニマル柄など殺生を連想させる素材・柄
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- タイツ(黒いストッキングではないもの)
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- 動物の皮で作られた革製品のベルトやカバン
3.遺族としての参列者への対応マナー
参列者との交流において、遺族は感謝の気持ちを伝えることが大切です。弔問客一人一人が故人のために時間を割いて参列しているため、丁寧な対応を心がけましょう。
弔問客への挨拶
参列者が焼香を終えた際や退席する際には、改めて感謝の言葉を伝えましょう。
「本日はご足労いただき、誠に有難うございました」「故人も喜んでいると思います。お心遣いに感謝申し上げます」と感謝の言葉を添えると良いでしょう。また、退席する際にも丁寧な挨拶を心がけることで、感謝の気持ちが伝わります。
弔電への対応
弔電が届いた場合、葬儀中に故人への追悼文として紹介されることがあります。内容を確認し、故人や遺族と関りが深いものを選んで整理します。式中に紹介する順番や、特に重要なメッセージはあらかじめ考慮しておくとスムーズです。
弔電の順番は、基本的に故人との関係性や役職などを考慮して決定します。会社の上司や親しい友人からのものは上位に配置し、関係の深さに応じて順番を工夫すると良いでしょう。
弔電をいただいた方々には、葬儀後にお礼状を送付するのが一般的です。喪主の名前で、感謝の意を伝えるとともに、葬儀が滞りなく終了した旨をお伝えします。
焼香台での振る舞い
焼香の際には、遺族として正しい焼香の作法を心得ておくことが大切です。一般的には、仏教式の焼香が行われることが多いですが、宗派によって焼香の回数や方法が異なる場合があるため、事前に確認しておくと良いでしょう。静かに焼香台の前に立ち、深い敬意をもって行動することで、故人への弔意が伝わります。
参列者との会話
弔問客から故人の思い出話を聞かれることがありますが、感謝の気持ちを持って対応しましょう。必要に応じて軽く相槌を打ち、静かに耳を傾けることで、故人への想いが共有されます。
4.葬儀後の対応と感謝の意を示す方法
葬儀が終わった後も、遺族として弔問客への礼儀を守ることが大切です。葬儀後の感謝の意を表すための方法について解説いたします。
香典返しの準備
香典をいただいた場合は、香典返しをすることが一般的です。香典を受け取った際、参列者の氏名と金額などを記録しておくことが大切です。記録は後日お礼状を送る際に必要になります。香典帳などを利用し、いただいた方の名前や金額を整理します。
香典返しは、故人に対する弔意への感謝の気持ちを込めて送る返礼品です。一般的には、香典金額の半額から3分の1程度の金額相当の品物を贈るのが通例です。地域や宗教によって風習が異なるため、葬儀社や親族に相談すると安心です。
いただいた香典の記録は、後日法要や香典返しの追加対応が必要になった場合に参照できるよう、香典帳として保管しておきます。
喪主としての香典対応は気配りが大切です。感謝の気持ちをしっかりと伝えることで、故人への敬意や弔問客への礼儀が示されます。
お礼状の送付
お礼状には、葬儀への参列や香典や弔電への感謝の気持ちを込めて、以下のような内容を含めます。
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- ・参列していただいたことへの感謝
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- ・香典や弔電をいただいた場合、その感謝の気持ち
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- ・今後の法要や四十九日の報告がある場合は、その旨も記載
お礼状は通常、葬儀後から四十九日法要が終わるまでの間(1~2か月以内)に発送します。遅れすぎると相手に失礼になるため、早めに手配しておきましょう。
メッセージや文体の配慮
お礼状の文体は丁寧で控えめにし、定型的な挨拶文を使います。必要以上に悲しみを表現するのは避け、感謝の意が伝わるようなシンプルな言葉が望ましいです。
封筒と印刷の準備
お礼状は白無地の封筒やカードを使用し、手書きまたは印刷で用意します。手書きの署名を入れると、より丁寧な印象が伝わります。
お礼状は故人や遺族に対する思いへの感謝を伝える大切な機会です。葬儀後の一連の対応として、誠意をもって準備・送付するように心がけましょう。
参列者への報告
遠方から参列してくれた方や故人に深い関りがあった方へは、葬儀後に感謝の報告を行うこともあります。直接会う機会がない場合は、手紙や電話で一言感謝を伝えると、丁寧な印象を与えます。特に親しい関係であった方に対しては、遺族からの感謝の言葉を伝えることで、故人への哀悼が深まるでしょう。
まとめ
遺族としての葬儀のマナーは、故人を送り出すと同時に、参列者に対して感謝と礼を尽くす重要な場面です。服装や言葉遣い、弔問客への対応、また葬儀後の感謝の伝え方まで、細やかな配慮が求められます。こうしたマナーを守ることで、故人を敬う心が形となり、参列者との信頼関係も深まります。不安な場面もあるかと思いますが、基本的なマナーや参列者への思いやりを大切に対応しましょう。
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